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2024/05/20 11:39 |
かくれんぼ
あふれかえる光のなかで
わたしはひそかに影を探した
行き場をなくしたため息の欠片が
身を寄せあって眠る塚を探した

遠くで海鳴りがしている
違うよ、あれは人の声だ
誰かの声が響いて消えてゆく
後には何一つ残さずに

世界は寄り添うには遠すぎて
けれどあなたは近すぎる
目を閉じて耳を塞ぐと
まぶたの裏に影が映った

朝焼けの空を思い出しながら
わたしは孤独の夢をみる
ひとりにはなれないと知りながら
光のなかに息を潜めた
見えない影に寄り添いながら
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2016/05/26 21:17 | コトバ
ことば
音にした瞬間、形にした瞬間
それはもう自分だけのものではなくなる

顔も名前も知らない人たちが触れ
繰りかえし、捏ねまわし、切りわけられ
気がつけばもうみんなのものになっている

喜ぶ人もいるだろう
傷つく人もいるだろう
称賛されることもあるだろう
非難されることもあるだろう

たった一つのそれが
触れる人によって姿を変える
誰にも止めることはできない
最初に産み落としたあなた自身にすら

それはまぼろしを現実にし
うたかたを永遠にするもの
されど沈黙にはなり得ぬもの

2014/09/13 19:26 | コトバ
空のいろ
世界が誰のものでもないと
気づいたのはいつだろう
ひとりぼっちの怖さを
肌と心で感じたのは

知らない人の言葉が
胸に深く突き刺さる
息をすることはできるのに
生きていくことが難しい

命は途方もなくやわらかだ
触れただけで軋みを上げる
どんなに奥深くに隠しても
傷口から血がにじみ出す

雲よもう少し空を覆ってくれ
ここの光は眩しすぎる
暗闇にはならなくていい
てのひらが見えるぐらいに

あなたのぬくもりに触れられるくらいに


2014/09/04 21:53 | コトバ
無題
空を見上げることを止めた
地面を眺めることを止めた
一人で目を閉じて
視界を黒で覆ってみた

音が聞こえる
耳は塞いでいないから
車の走る音
風が木の枝を揺らす音
それから誰かの声

どうにもならないことが
心の中に積み上がっていく
どうにもできないことに
知らず涙があふれてくる

どうして私は私なのだろう
あの人のようではなかったのだろう
それぞれの一日を繰り返していく中で
こんなにも違っていったのだろう

それとも
最初から違っていたのだろうか
この世に生まれ落ちた瞬間から

私があの人ではないように
あの人が私ではないように

2014/06/21 19:57 | コトバ
ひとかけの世界
ひとかけの憎しみから悪意が生まれた
悪意は誰かと誰かの間に諍いを起こした
諍いは周囲へと伝染し争いとなった
争いは戦いとなり何もかもを呑みこんだ
深く根付く悪意を生み出した種の名を
もう誰も覚えてはいなかった

あらゆることの始まりは些細なことだ
生み出された小さな感情が
やがて巨大なものへと育まれていく
そうして気づいた時にはもう
手に負えない代物になっている

人が憎しみを覚えた理由は何だろう
罪を許さないためか
愛の尊さを知るためか
だが幾多の物語は繰り返すではないか
「憎しみは何も生まない」と
その先には底なしの闇しかないと

どれほど考えても答えは出ないので
この世に行き渡る全ての憎しみを抱えて
私はひとかけの世界を作ろうと思う
一瞬のうちに滅びたとしてもいい
もしも憎しみが本当に必要なものなら
世界はきっと美しく見えるだろう

果てしなく醜くても
それでも愛おしく映るだろう

2012/08/14 22:17 | コトバ

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