あふれかえる光のなかで
わたしはひそかに影を探した
行き場をなくしたため息の欠片が
身を寄せあって眠る塚を探した
遠くで海鳴りがしている
違うよ、あれは人の声だ
誰かの声が響いて消えてゆく
後には何一つ残さずに
世界は寄り添うには遠すぎて
けれどあなたは近すぎる
目を閉じて耳を塞ぐと
まぶたの裏に影が映った
朝焼けの空を思い出しながら
わたしは孤独の夢をみる
ひとりにはなれないと知りながら
光のなかに息を潜めた
見えない影に寄り添いながら
わたしはひそかに影を探した
行き場をなくしたため息の欠片が
身を寄せあって眠る塚を探した
遠くで海鳴りがしている
違うよ、あれは人の声だ
誰かの声が響いて消えてゆく
後には何一つ残さずに
世界は寄り添うには遠すぎて
けれどあなたは近すぎる
目を閉じて耳を塞ぐと
まぶたの裏に影が映った
朝焼けの空を思い出しながら
わたしは孤独の夢をみる
ひとりにはなれないと知りながら
光のなかに息を潜めた
見えない影に寄り添いながら
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音にした瞬間、形にした瞬間
それはもう自分だけのものではなくなる
顔も名前も知らない人たちが触れ
それはもう自分だけのものではなくなる
顔も名前も知らない人たちが触れ
繰りかえし、捏ねまわし、切りわけられ
気がつけばもうみんなのものになっている
気がつけばもうみんなのものになっている
喜ぶ人もいるだろう
傷つく人もいるだろう
称賛されることもあるだろう
非難されることもあるだろう
たった一つのそれが
触れる人によって姿を変える
誰にも止めることはできない
最初に産み落としたあなた自身にすら
称賛されることもあるだろう
非難されることもあるだろう
たった一つのそれが
触れる人によって姿を変える
誰にも止めることはできない
最初に産み落としたあなた自身にすら
それはまぼろしを現実にし
うたかたを永遠にするもの
されど沈黙にはなり得ぬもの
世界が誰のものでもないと
気づいたのはいつだろう
ひとりぼっちの怖さを
肌と心で感じたのは
知らない人の言葉が
胸に深く突き刺さる
息をすることはできるのに
生きていくことが難しい
気づいたのはいつだろう
ひとりぼっちの怖さを
肌と心で感じたのは
知らない人の言葉が
胸に深く突き刺さる
息をすることはできるのに
生きていくことが難しい
命は途方もなくやわらかだ
触れただけで軋みを上げる
どんなに奥深くに隠しても
傷口から血がにじみ出す
雲よもう少し空を覆ってくれ
ここの光は眩しすぎる
暗闇にはならなくていい
てのひらが見えるぐらいに
触れただけで軋みを上げる
どんなに奥深くに隠しても
傷口から血がにじみ出す
雲よもう少し空を覆ってくれ
ここの光は眩しすぎる
暗闇にはならなくていい
てのひらが見えるぐらいに
あなたのぬくもりに触れられるくらいに
空を見上げることを止めた
地面を眺めることを止めた
一人で目を閉じて
視界を黒で覆ってみた
音が聞こえる
耳は塞いでいないから
車の走る音
風が木の枝を揺らす音
それから誰かの声
どうにもならないことが
心の中に積み上がっていく
どうにもできないことに
知らず涙があふれてくる
どうして私は私なのだろう
あの人のようではなかったのだろう
それぞれの一日を繰り返していく中で
こんなにも違っていったのだろう
それとも
最初から違っていたのだろうか
この世に生まれ落ちた瞬間から
私があの人ではないように
あの人が私ではないように
地面を眺めることを止めた
一人で目を閉じて
視界を黒で覆ってみた
音が聞こえる
耳は塞いでいないから
車の走る音
風が木の枝を揺らす音
それから誰かの声
どうにもならないことが
心の中に積み上がっていく
どうにもできないことに
知らず涙があふれてくる
どうして私は私なのだろう
あの人のようではなかったのだろう
それぞれの一日を繰り返していく中で
こんなにも違っていったのだろう
それとも
最初から違っていたのだろうか
この世に生まれ落ちた瞬間から
私があの人ではないように
あの人が私ではないように
ひとかけの憎しみから悪意が生まれた
悪意は誰かと誰かの間に諍いを起こした
諍いは周囲へと伝染し争いとなった
争いは戦いとなり何もかもを呑みこんだ
深く根付く悪意を生み出した種の名を
もう誰も覚えてはいなかった
あらゆることの始まりは些細なことだ
生み出された小さな感情が
やがて巨大なものへと育まれていく
そうして気づいた時にはもう
手に負えない代物になっている
人が憎しみを覚えた理由は何だろう
罪を許さないためか
愛の尊さを知るためか
だが幾多の物語は繰り返すではないか
「憎しみは何も生まない」と
その先には底なしの闇しかないと
どれほど考えても答えは出ないので
この世に行き渡る全ての憎しみを抱えて
私はひとかけの世界を作ろうと思う
一瞬のうちに滅びたとしてもいい
もしも憎しみが本当に必要なものなら
世界はきっと美しく見えるだろう
果てしなく醜くても
それでも愛おしく映るだろう
悪意は誰かと誰かの間に諍いを起こした
諍いは周囲へと伝染し争いとなった
争いは戦いとなり何もかもを呑みこんだ
深く根付く悪意を生み出した種の名を
もう誰も覚えてはいなかった
あらゆることの始まりは些細なことだ
生み出された小さな感情が
やがて巨大なものへと育まれていく
そうして気づいた時にはもう
手に負えない代物になっている
人が憎しみを覚えた理由は何だろう
罪を許さないためか
愛の尊さを知るためか
だが幾多の物語は繰り返すではないか
「憎しみは何も生まない」と
その先には底なしの闇しかないと
どれほど考えても答えは出ないので
この世に行き渡る全ての憎しみを抱えて
私はひとかけの世界を作ろうと思う
一瞬のうちに滅びたとしてもいい
もしも憎しみが本当に必要なものなら
世界はきっと美しく見えるだろう
果てしなく醜くても
それでも愛おしく映るだろう